牛乳は噛んで飲む

こっそり転職活動を行うグラフィックデザイナーのなんてことない日常。

スポーツバーというアウェイ

6月15日
ワールドカップの日本対コートジボワール戦があり、友人に声をかけてもらったのでスポーツバーで観戦してきました。
生まれてはじめての経験だったのでメモとして記録に残しておきます。
今後はじめてスポーツバーでイベントに参加する人の参考になれれば幸いです。
ここから先は試合の結果が書いてあるので、まだ試合結果を知らない方は気をつけてください。

 

この日、10時キックオフだったので9時にお店に行きました。
お店の場所は知っていたので友人とはお店の前で待ち合わせをしたのですが、そこで早くも嫌な予感が。
そう。待ち合わせ場所で出会った友人たちはみんな日本代表のユニフォームを着用していたのです。
なぜあらかじめ言っておいてくれなかったのか……
もしかしていじめられているのかな?という被害妄想がよぎったのですが、そこを掘り下げても仕方がないので、平気な顔をして友人たちに挨拶をしました。
でもやっぱり言われるよね。

「えっ!?なんでユニフォームじゃないの?」

スポーツバーで試合観戦するときは、ユニフォーム着用は基本みたいです。
なので、わざわざ“ユニフォーム着用で集合”という連絡はしなかったそうな。
その日は去年か一昨年にユニクロで購入した真っ白なNARUTOのTシャツを着てしまっていたので、友人からサッカー日本代表のデザインのマフラータオルを借してもらいました。
これでなんとか見逃してください。
という気持ちだったのですが、一歩スポーツバーに入ると更に恐ろしい光景が広がっていました。

なんか顔に描いてる人が大勢いる。

顔に日本国旗や選手の名前を描いている男女が、まだ試合がはじまっていないのに「日本!日本!」と叫びながら手拍子をしていました。
しかもその人たちは今日はじめて会った人らしく、自己紹介がてらに試合の予想や期待している選手についてものすごい高いテンションで語る語る。
すでに満員のスポーツバーのなかで流れに流され、うっかりその輪のそばに立ってしまっていたので、大学生ぐらいと思われる女性に「どの選手を応援してるんですか?」と聞かれてしまった。

地獄。

今回さそってもらったし、とくに予定もなかったので来たけれど、実はサッカーに関する知識をほとんど持っていません。
つい最近テレビでザッケローニ監督を拝見した際に「オシム」と言ったところ、友人が的確に指摘してくれたので、かろうじて監督の名前は知っていました。
でも選手の名前はうろおぼえ。
フルネームで言えるサッカー選手といえば、アルシンド・サルトーリセルジオ越後ぐらいです。
どちらも今日の試合に出ていないことは知っていたので「どの選手を応援しているのか。」という質問の回答にはなりません。
あまりに長い沈黙はハードルを高くするばかりなので、とにかく何か言わねばと思い必死に絞り出した答えが

「個別で応援している選手はとくにないけれど、今日はどんな采配をするのかが楽しみです。」

という自分でも驚くぐらいかっこいいものでした。
そもそもサッカーで“采配”という言葉が使われるのかは分かりませんが、なんとかその場は上手く納まった気がします。
グッジョブ!自分!
スポーツバーでは一歩足を踏み入れたときから試合がはじまっている。
頭のなかの石盤に深く刻み込むことができました。

そうこうしているうちに試合開始。
青いユニフォームとオレンジのユニフォームが右へ左へ行ったり来たり。
そのたびにスポーツバー内は「おぉーっ!」や「あぁーっ!」などの歓声で盛り上がります。
ほとんどサッカーの試合を観たことがなかったので、声を出すタイミングが分からずチーズバーガーをほおばり『今はチーズバーガーが口の中にいるので声を出せない』アピールをしていました。
すると前半16分、本田選手の先制ゴール!
さすがにここは声を出すところだろと思ったので、少し大きめの声で「おぉーっ!」と言ってみました。
しかしそれとは比べものにならないぐらい大きな声があちらこちらで上がったので、一瞬でかき消されてしまった。
さらに声を出すだけでなく、そこらじゅうでハイタッチやハグなどが行われ、飛び跳ねる人たちも。
すごい。
日本人でもハグとかするんだ……
スポーツバーだったので、試合がはじまる前からお酒を飲んでる人が多かったけれど、一回のゴールでこんなに盛り上がるなんて。
お祭りみたいな雰囲気に思わず笑顔になりましたが、知らない人とハグする勇気は出ず友人たちとハイタッチすることで精一杯でした。
スポーツバーではゴールしたら見ず知らずの人とハグできる空間である。
また石盤に新たな呪文が刻み込まれました。
この時点で頭のなかの石盤はもう隙間がなくなってきています。

1-0で前半戦が終了し、休憩時間?のあいだもみんなのテンションは上がり続けるばかり。
選手の動きを分析する人や、本田選手のゴールを解説する人などがいるなか、違う動きをする人を発見してしまいました。
ナンパです。
どこから来たの?
学生?社会人?
このあとどうするの?
など完全にサッカーとは関係ないやり取りが繰り広げられていました。
このお祭りのような雰囲気なら見ず知らずの人にも話しかけやすいし、試合観戦という共通の目的があれば会話にも困らない。
まさに出会いの場!
スポーツバーには出会いがある。(ただし自分がナンパされる可能性は限りなく0に近い)
石盤の隙間にかろうじて刻み込むことができました。

後半戦がはじまり、あれよあれよとコートジボワールに得点を許してしまい、結果1-2で日本の負け。
ものすごい怒号が飛び交うのかとヒヤヒヤしたけれど、意外とみんなあっさりしていて、がっくりしている人もたくさんいましたが、罵詈雑言で騒ぎになることはありませんでした。
日本のサッカーファンは過激な人が少ないみたいでよかったです。

普段経験できない空気感を味わえて、サッカーのことが分からなくても楽しめました。
ただ人見知りの人にはスポーツバーでの観戦はおすすめできません。
人見知りにはただの地獄。

 


R 1ぐらんぷり2014じゅんいちダビッドソン - YouTube

 

 本田選手の顔はおぼえました。